「神経病（neuropathy）」と「精神病（psychosis）」は、いずれも「神経」や「脳」に関わる用語に見えますが、まったく異なる領域の病気です。以下に両者の違いを、明確に整理してご説明します。
🧠 神経病（Neuropathy）
▶ 定義
神経そのもの（中枢または末梢神経）が損傷・変性することで生じる身体的な病気
→ 主に 神経内科 や 整形外科 の領域
▶ 代表的症状
- 手足のしびれ・感覚障害
- 筋力低下
- 筋萎縮
- けいれん、反射異常
▶ 原因例
| 原因 | 疾患例 |
|---|
| 糖尿病 | 糖尿病性ニューロパチー |
| ウイルス | 帯状疱疹後神経痛 |
| 免疫反応 | ギラン・バレー症候群 |
| 栄養欠乏 | ビタミンB1欠乏性ニューロパチー |
| 外傷 | 末梢神経断裂・圧迫 |
▶ 検査・治療
- 検査：MRI、神経伝導速度検査、髄液検査など
- 治療：原因に応じてビタミン補充、免疫療法、疼痛管理など
🧠 精神病（Psychosis）
▶ 定義
現実検討力が著しく障害された精神状態で、妄想や幻覚などが出現する精神疾患群
→ 主に 精神科 の領域
▶ 代表的症状
- 妄想（被害妄想、誇大妄想など）
- 幻覚（特に幻聴）
- 思考の混乱（支離滅裂）
- 自我障害（自分の考えが他人に盗まれている感覚など）
▶ 原因例
| 原因 | 疾患例 |
|---|
| 内因性 | 統合失調症、双極性障害（躁状態） |
| 器質性 | 脳腫瘍、てんかん、認知症による精神病 |
| 薬物・中毒性 | 幻覚剤（LSDなど）、ステロイド精神病 |
▶ 検査・治療
- 検査：精神状態評価、脳画像、血液検査（器質性の除外）
- 治療：抗精神病薬、精神療法、入院管理など
🔍 比較表
| 項目 | 神経病（Neuropathy） | 精神病（Psychosis） |
|---|
| 主な診療科 | 神経内科・整形外科 | 精神科 |
| 原因 | 神経の物理的・生理的損傷 | 脳機能の異常・精神的疾患 |
| 中心症状 | 感覚障害・筋力低下など身体症状 | 幻覚・妄想・自我障害など精神症状 |
| 現実検討力 | 保たれている | 失われることが多い |
| 検査 | 神経伝導・MRIなどで異常検出可 | 多くは画像異常なし（ただし器質性なら異常） |
| 代表疾患 | ギラン・バレー症候群、ALS、糖尿病性神経障害など | 統合失調症、躁病エピソード、せん妄など |
📝 まとめ
| 比較軸 | 神経病 | 精神病 |
|---|
| 「神経の配線が壊れる」病気 | ✅ | ❌ |
| 「心（思考・感情・行動）」の病気 | ❌ | ✅ |
| 現実検討力（リアリティテスト） | 保たれる | 失われることがある |
| 診療科 | 神経内科 | 精神科 |
