Paul Éluard ポール・エリュアール La vie est à partager. 人生とは分かち合うことだ

Paul Éluard
La vie est à partager.
人生とは分かち合うことだ

エリュアールの詩的思想を象徴するフレーズ

彼にとって「愛」「自由」「連帯」は常に共有されるもの

生は一人で完結しない

愛・自由・希望は共有されて初めて現実になる


The life is to part.

該当する単語だけで置き換えるとこんな感じ

Life is meant to be shared.

標準的英訳

Life is something to be shared.

フランス語の est à + 不定詞(~されるべき/~するものだ)の構文を丁寧に反映

Life must be shared.

強い規範性


ポール・エリュアールの晩年の傑作であり、最愛の妻ドミニクに捧げられた詩集『フェニックス(Le Phénix)』の冒頭を飾る『Je t’aime(君を愛している)』

この詩は、彼が絶望の淵(二番目の妻ヌーシュの死)から、ドミニクという新たな愛によって再生した喜びを歌ったものです。


Je t’aime (君を愛している)

ポール・エリュアール

【フランス語原詩】

Je t’aime pour toutes les femmes que je n’ai pas connues
Je t’aime pour tous les temps où je n’ai pas vécu
Pour l’odeur du grand large et l’odeur du pain chaud
Pour la neige qui fond pour les premières fleurs
Pour les animaux purs que l’homme n’effraie pas
Je t’aime pour aimer
Je t’aime pour toutes les femmes que je n’aime pas

Qui me reflète sinon toi-même je me vois si peu
Sans toi je ne vois rien qu’une étendue déserte
Entre autrefois et aujourd’hui
Il y a eu toutes ces morts que j’ai franchies sur de la paille
Je n’ai pas pu percer le mur de mon miroir
Il m’a fallu apprendre mot par mot la vie
Comme on oublie

Je t’aime pour ta sagesse qui n’est pas la mienne
Pour la santé
Je t’aime contre tout ce qui n’est qu’illusion
Pour ce cœur immortel que je ne détiens pas
Tu crois être le doute et tu n’es que raison
Tu es le grand soleil qui me monte à la tête
Quand je suis sûr de moi.


【日本語訳:全編】

君を愛している 私がまだ知らないあらゆる女性たちのために
君を愛している 私が生きてこなかったあらゆる時のために
広い海を渡る香りのために 焼きたてのパンの香りのために
溶けてゆく雪のために 最初の花たちのために
人間に怯えることのない純粋な生き物たちのために
君を愛している 愛するために
君を愛している 私が愛していないあらゆる女性たちのために

君以外の誰が私を映し出すだろう 私は私自身をほとんど見ていない
君がいなければ 私は広大な荒野しか見ることができない
かつて(過去)と 今日(現在)との間に

藁(わら)の上で私が越えてきた これらすべての死があった
私は自分の鏡の壁を 突き破ることができなかった
私は一語一語 人生を学ばなければならなかった
物事を忘れてゆくときのように

君を愛している 私のものではない君の知恵のために
健やかさのために
君を愛している 幻にすぎないあらゆるものに抗って
私が持ち合わせていない この不死の心のために
君は自分を「疑い」だと思っているが 君は「理性」そのものだ
君は私の頭にのぼる大きな太陽だ
私が自分自身を 確信しているとき


この詩の解説と「共有」

この詩には、「La vie est à partager(人生は分かち合うものだ)」という言葉そのものは直接出てきませんが、その精神が全編に流れています。

  • 「君がいなければ、広大な荒野しか見えない」: 一人では世界は虚無である。
  • 「一語一語、人生を学ばなければならなかった」: 愛する人が現れて初めて、人生という言語(意味)を学び直した。
  • 「私のものではない君の知恵のために」: 自分一人の閉じられた世界ではなく、他者である「君」の存在を受け入れること。

エリュアールにとって、愛することは「自分一人の孤独な世界から脱出し、他者と世界を共有(partager)すること」そのものでした。

この詩は、彼が絶望(前妻の死)から立ち直り、新たな妻ドミニクと出会ったことで「再び世界を愛せるようになった(分かち合えるようになった)」喜びを歌った、彼の最も美しい愛の詩の一つです。


ポール・エリュアールの詩『Je t’aime』の英語訳をご紹介します。

エリュアールの詩は非常にシンプルながらも深いイメージを持っており、英語圏でも非常に人気があります。


I Love You (Je t’aime)

by Paul Éluard

I love you for all the women I have not known
I love you for all the times in which I have not lived
For the scent of the wide open sea and the scent of warm bread
For the melting snow and for the first flowers
For the innocent animals that man does not frighten
I love you for the sake of loving
I love you for all the women I do not love

Who reflects me if not yourself? I see myself so little
Without you I see nothing but a desert expanse
Between the past and today
There have been all those deaths that I crossed on straw
I could not pierce the wall of my mirror
I had to learn life word by word
As one forgets

I love you for your wisdom which is not mine
For health
I love you against everything that is only illusion
For this immortal heart that I do not possess
You believe you are doubt and you are only reason
You are the great sun that goes to my head
When I am sure of myself.


翻訳のポイント

  • “For the sake of loving”: 原文の Je t’aime pour aimer(愛するために愛している)の訳です。愛という行為そのものが目的であることを示しています。
  • “The great sun that goes to my head”: 原文の le grand soleil qui me monte à la tête の訳です。「頭にのぼる」という表現は、お酒に酔うときのような高揚感や、理性を失うほどの強い幸福感を暗示しています。
  • “I had to learn life word by word / As one forgets”: 非常にエリュアールらしい表現です。真っ白な状態で人生(生きること)を学び直すプロセスの美しさを表しています。

この詩は、一人の人間を愛することが、いかに世界全体を肯定することに繋がるかを教えてくれます。英語で読むと、また日本語やフランス語とは違った響きの美しさが感じられるかと思います。


For the scent of the wide open sea

で連想

Je t’aime pour aimer

I love you to love.

タイトルとURLをコピーしました