では、EASE的面接をそのまま臨床で使える形の逐語スクリプトとして、ケースベースで提示します。
(解説は最小限にとどめ、流れと“聞き方”が分かる形にしています)
ケース1:Trema段階(違和感中心)
設定:20代男性、「何か変」
医師:
最近、少しでも「いつもと違う感じ」があれば教えてください。うまく言えなくても大丈夫です。
患者:
なんとなくなんですけど、周りの感じが変なんです。
医師:
「変」というのは、どんな感じに近いですか?
患者:
現実なんですけど…ちょっと現実っぽくないというか。
医師:
少し作り物みたいな感じですか?
患者:
ああ、そんな感じです。
医師:
そのとき、ご自身の感じはどうですか。ちゃんとそこにいる感じはありますか?
患者:
それも変で…自分が少し遠い感じがします。
医師:
遠い、というのは、例えばどんなふうに?
患者:
自分が自分じゃない感じまではいかないんですけど、ちょっと薄い感じです。
医師:
考え方についてはどうでしょう。考えが自然に出てくる感じはありますか?
患者:
前より勝手に浮かぶ感じがあります。
医師:
その考えは、ご自身のものという感じはありますか?
患者:
ありますけど…少し距離がある感じです。
医師:
周りの出来事が、少し特別な意味を持っているように感じることはありますか?
患者:
あります。でも、まだ分からないです。
医師:
「分からないけど何かある感じ」なんですね。
患者:
はい、それが一番近いです。
医師:
その感じは、不安に近いですか?
患者:
不安ですけど…何か起こりそうな感じもあります。
ケース2:Apophany直前(意味の形成)
設定:同様の患者、数日後
医師:
前回の「何かありそうな感じ」は、その後どう変わりましたか?
患者:
少し分かってきた気がします。
医師:
どんなふうに分かってきましたか?
患者:
周りのことが、自分と関係している気がするんです。
医師:
関係している、というのは例えば?
患者:
広告とか、会話とか…全部じゃないんですけど、意味がある感じがして。
医師:
その意味は、はっきり分かる感じですか?
患者:
まだはっきりではないです。でも偶然じゃないです。
医師:
偶然ではない、という感じは強いんですね。
患者:
はい。つながっている感じです。
医師:
その「つながり」は一つの意味にまとまっている感じですか?
患者:
そうです。バラバラじゃないです。
医師:
その中で、ご自身の位置はどう感じますか?
患者:
自分が関係している…中心に近い感じもあります。
医師:
その感じについて、他の見え方もあり得る感じはありますか?
患者:
前は思えたんですけど、今はちょっと難しいです。
ケース3:自己障害が前景のケース
設定:30代女性、「自分が変」
医師:
最近、ご自身についての感じ方で変わったことはありますか?
患者:
自分がちゃんといる感じがしないんです。
医師:
ちゃんといる感じがしない、というのは?
患者:
存在が薄いというか…実感が弱いです。
医師:
そのとき、ご自身をどう感じますか?
患者:
空っぽな感じです。
医師:
考えについてはどうですか。自然に出てくる感じはありますか?
患者:
考えはあるんですけど、自分が考えている感じが弱いです。
医師:
少し勝手に起きている感じですか?
患者:
はい、それに近いです。
医師:
日常の動き、例えば歩くとか話すとかはどうですか?
患者:
意識しすぎて変になります。
医師:
自然にできない感じですか?
患者:
はい、全部考えながらやっている感じです。
ケース4:宗教的内容を含む初期ケース
医師:
最近、世界の見え方や意味について変化はありますか?
患者:
はい…何か大きな意味がある気がします。
医師:
どんな意味に近い感じですか?
患者:
うまく言えないんですけど…導かれている感じです。
医師:
導かれている、というのは安心感がありますか?それとも別の感じですか?
患者:
少し安心もありますけど、圧倒される感じもあります。
医師:
その体験について、他の見方もあり得る感じはありますか?
患者:
完全には否定できないですけど…かなり強い感じです。
医師:
その感じは、日常生活にはどんな影響がありますか?
患者:
少し集中できなくなっています。
共通する面接の“型”
これらを抽出すると、EASE的面接はほぼこの流れになります:
■ 基本シーケンス
① 開く
「何か変な感じはありますか」
↓
② 質感を問う
「どんな感じに近いですか」
↓
③ 自己へ向ける
「自分の感じはどうですか」
↓
④ 思考へ
「考え方は変わりましたか」
↓
⑤ 意味へ
「特別な意味を感じますか」
↓
⑥ 確信度
「他の見方は可能ですか」
■ 核心
- 内容ではなく体験構造
- 答えではなく語り方
- 確信ではなく揺らぎ
必要であれば次は、
- 面接で「悪化させる聞き方」の逐語例
- 同じ症例をCBT-p的に扱う場合の対比
- 家族面接での言い換え
など、さらに実践的な展開も可能です。
