「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」の説明

行動療法を理解する上で、「古典的条件付け」「オペラント条件付け」は最も重要な2つの柱です。

これらを一言でいうと、

  • 古典的条件付け: 「反応(反射)」の学習(体が勝手に反応してしまうこと)
  • オペラント条件付け: 「行動」の学習(自分の意思で行う行動が増えたり減ったりすること)

となります。初心者の方にも分かりやすく、詳しく解説します。


1. 古典的条件付け(レスポンデント条件付け)

「きっかけ」と「反応」がセットで記憶されること

これは、ロシアの生理学者パブロフが犬の実験(パブロフの犬)で見つけた学習原理です。本来は無関係だったはずの「刺激」が、何度も繰り返されるうちに、特定の「反応」を引き起こすようになる現象を指します。

具体例:梅干しやレモン

  • 学習前: 梅干しを口に入れると、酸っぱいので勝手に唾液が出ます。(自然な反応)
  • 学習中: 梅干しの「見た目」を見ながら食べる、ということを繰り返します。
  • 学習後: 梅干しを「見ただけ」で、口に入れていないのに唾液が出てきます。

「梅干しの見た目(刺激)」と「唾液が出る(反応)」が脳内でセットになったのです。

行動療法での視点(例:恐怖症)

例えば、エレベーターで閉じ込められて怖い思いをした人が、その後「エレベーターを見ただけで動悸がする」ようになるのは、古典的条件付けの結果です。

  • 刺激: エレベーター
  • 反応: 強い不安・動悸

行動療法では、この「間違って結びついてしまったセット」を、安全な環境で少しずつ解いていく治療(曝露療法など)を行います。


2. オペラント条件付け

「行動」とその後の「結果」によって、行動が変化すること

こちらはアメリカの心理学者スキナーが提唱した理論です。ある行動をした後に「良いこと」が起きればその行動は増え、「嫌なこと」が起きればその行動は減る、という仕組みです。自分の意思でコントロールできる「自発的な行動」が対象です。

この学習には大きく分けて4つのパターンがあります。

① 正の強化(ご褒美で増える)

行動した後に、良いことが起きるので、行動が増えること。

  • 例: お手伝いをしたら、お母さんに褒められた。→ またお手伝いをするようになる。

② 負の強化(嫌なことがなくなって増える)

行動した後に、嫌なことが消えるので、行動が増えること。

  • 例: 頭痛がしたので、薬を飲んだら痛みが消えた。→ 次回も頭痛がしたらすぐ薬を飲むようになる。

③ 正の罰(嫌なことが起きて減る)

行動した後に、嫌なことが起きるので、行動が減ること。

  • 例: スピード違反をして、警察に捕まった。→ スピードを出さなくなる。

④ 負の罰(良いことがなくなって減る)

行動した後に、良いことが取り上げられるので、行動が減ること。

  • 例: 宿題をしなかったので、ゲームを没収された。→ 宿題をサボらなくなる。

行動療法での視点(例:うつ病や依存症)

うつ病の方は、外出しても「疲れるだけ(嫌なこと)」で「楽しいこと(良いこと)」がないため、外出という行動が減ってしまいます。行動療法(行動活性化療法)では、小さな「良いこと」が起こりやすい行動を計画し、少しずつ活動量を増やしていくアプローチを取ります。


古典的条件付けとオペラント条件付けの違い(まとめ)

特徴古典的条件付けオペラント条件付け
学習の対象不随意な反応(涙、唾液、恐怖、動悸など)自発的な行動(歩く、話す、作業するなど)
仕組みAが起きるとBが起きる(刺激 → 反応)行動したらどうなったか(行動 → 結果)
本人の意思関わらない(勝手に体が反応する)関わる(結果を見て行動を選ぶ)
覚え方「きっかけ」の学習「やり取り」の学習

最後に

私たちは日々、この2つの学習を無意識に繰り返しています。

  • 「アラームの音を聞くだけで嫌な気分になる」のは、古典的条件付け
  • 「SNSで『いいね』がもらえると、また投稿したくなる」のは、オペラント条件付け

行動療法では、これらを利用して、不適切な反応を和らげたり(古典的条件付けの修正)、より生活しやすい行動を身につけたり(オペラント条件付けの活用)して、困りごとの解決を目指します。

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