この文献のChapter 1「Who Can Do Psychotherapy?」および関連箇所を整理して詳しく解説します。
誰が心理療法を行えるか
資格を持つ専門職
Dumont は、心理療法は特定の職業が「所有」するものではないと明言しています。適切に教育・訓練・認定を受けた専門家であれば、以下の職種が実践できるとされています。
- 臨床心理士(clinical psychologists)
- 精神科医(psychiatrists)
- カウンセリング心理士(counseling psychologists)
- 社会福祉士(social workers)
- 精神科看護師(psychiatric nurses)
- 学校心理士(school psychologists)
- 作業療法士(occupational therapists)
「心理療法」はこれらの専門職に共通する包括的な臨床手続きの総称であり、職種の壁よりも能力の実証が優先されます。
個人的制約
1. 能力の限界を超えないこと
最も根本的な戒律は「自己の能力の限界を決して超えてはならない」という原則です。これは二つの領域に具体的に適用されます。
- 診断・評価ツールの使用と解釈:訓練を受けていない検査や評価手続きを行うこと。
- 特定の技法の適用:十分な訓練なしに特定の介入技法を使用すること。
2. 治療家の人格と転移の問題
Dumont は、治療家の人格そのものが制約の源泉になりうると論じています。Mahoney(1991)を引用しながら、「治療家の人格は、理論的志向や技法の使用よりも少なくとも8倍影響力がある」と指摘します。
これは能力の問題であると同時に、無意識的な逆転移の問題でもあります。特定の障害を持つクライエント(例:小児性愛、サディズム)に対して、治療家が否定的な無意識的転移を抱える場合、その治療家はそのクライエントを担当すべきではありません。すべての研修生は「自分の人格と能力が担当できるクライエントの範囲を制限する」ことを自覚しなければならないとされています。
3. 知識の陳腐化という罠
心理療法は絶えず進化しているにもかかわらず、多くの臨床家は大学院で学んだ戦略・技法・原則をそのまま使い続ける傾向があります。私的臨床実践の時間的プレッシャーの下で、新しい手続きや原則の習得が後回しにされがちです。Dumont はスポーツ心理学の格言を引いて警告します――「練習は永続的な変化をもたらすが、必ずしも完璧な変化をもたらすわけではない」。時代遅れの技法を磨くことは臨床的な望ましい目標ではないのです。
4. 障害・クライエント層の選択
すべての精神疾患に等しく対応できる治療家はいません。Kraus ら(2011)の研究が示すように、ある種の障害では他の治療家より優れた成果を上げる治療家が、別の障害では劣った成果しか出せないことがあります。これは治療家の快・不快感、未遭遇クライエントへの無意識的転移、あるいは特定の障害に対する手法の不適切さに起因する可能性があります。将来の実践家は、自分が専門的に献身すべき障害の種類と人口統計学的対象を早期に選択することが望ましいとされています。
制度的制約
1. 資格認定・免許制度
治療家は、公共の利益のために、より広い精神保健サービスコミュニティおよび自分が属する専門分野の現在受け入れられている基準に従って、特定のクライエントを治療する能力を実証できなければなりません。これには資格認定(accreditation)と免許(licensure)の取得が含まれます。
2. 保険・診断コーディング
制度的制約の中で特に実践的な問題として、保険請求のための診断コーディングが挙げられます。最も有効な療法を選択するためには正確な診断が前提となり、それには以下への習熟が求められます。
- アメリカ精神医学会の DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)
- 世界保健機関の ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)
3. 多職種チームへの統合
Dumont は、臨床・カウンセリング心理士から精神科医、社会福祉士、学校心理士、作業療法士に至るまで、医療専門家とチームを組んで働くことが増えると予測しています。統合的ヘルスケアチームの主な利点は、「知的補装具(intellectual prostheses)」として機能する同僚を容易に利用できることです。独立開業を選ぶ治療家でさえ、地域の専門家ネットワークの一員となり、持続可能な事業を運営するスキルを確保する必要があります。
4. 向精神薬の監視義務
Pope と Wedding(2019)が論じているように、向精神薬を服用しているクライエントの状態を監視しないことには危険が伴います。Grawe(2007)は明確に述べています――「クライエントの経験の同時的・目標指向的変容と協調していない精神薬理学的治療は、神経科学的観点から正当化できない」。心理的目的のためにクライエントに薬を処方することは、あらかじめ設定された臨床目標と、進捗の誠実な継続的評価を必要とします。
5. 産業化・経営上の要求
心理療法が保健分野として公認されるにつれ、保険会社への償還請求のプレッシャーが高まっています。治療家は制度的現実から目を背けることなく、学習・訓練の段階から、資格認定・免許・保険・医療機関の要求を満たすような個人的治療・専門的・事業的モデルを構築しておくことが推奨されています。
総括
Dumont の議論を整理すると、「誰が治療を行えるか」という問いへの答えは単純ではありません。制度的には多様な職種に門戸が開かれている一方で、個人的制約(能力・人格・無意識的転移・知識の更新)と制度的制約(資格・診断コーディング・多職種協働・薬物監視・経営的持続性)が重層的に課されています。Corsini の言葉が示すように、最も成功する治療家とは、自分の人格に合致した理論と方法論を選び、その哲学的基盤が最も妥当と感じられ、実践において最も魅力的な方法論を持つアプローチを深めていく者です――ただし、それは常に治療の有効性と患者の最善の利益という制約の枠内でのことです。
