うつ病について 初心者用紹介記事


うつ病について

うつ病とは何か

健康なときにも見られる「うつ」と、うつ病の違いは、症状の強さとその持続期間が一つの目安になります。ちょっとした憂うつであれば、基本的に日常生活の障害にはなりませんが、うつ病になると、これまで普通にできていた仕事や家事がひどく負担に感じるようになります。

ストレス過多で疲れたときや人間関係がこじれたとき、体の病気にかかって思うように動けなくなったときなど、気持ちが沈んで孤独感が強まることは誰にでもあります。うつ病はいわば、こうした「心のエネルギーが減った状態」が長引いて悪循環に陥り、そこから抜け出しにくくなった状態です。


うつ病の症状

心の症状

うつ病になると、ものの見方が極端に否定的になり、普段なら気にならないちょっとしたことでもくよくよ落ちこんだり、これまで楽しめたことが楽しめなくなります。例えば、健康な人なら誰でも「おいしいものを食べたい」と思うものですが、うつ病になるとこうした普段楽しめていたことに対する興味がなくなります。

憂うつな気分は涙もろさや今までにない寂しさも引き起こし、実際にはサポートしてくれる家族や友人がいるにもかかわらず、「誰も助けてくれない」という否定的な思いこみが強くなります。また、些細なことでイライラして物事に集中できなくなり、仕事や家事がうまくこなせなくなって、「自分はダメなやつだ」「同僚や家族に申し訳ない」と自分を責める気持ちも出てきます。

この自責感が高じると、「自分なんか要らない」という考えに発展して、離職や離婚、あるいは自殺という最悪の事態を引き起こす恐れがあります。うつ病がベースにあると考えられる自殺は決してまれではなく、この点がこの病気の最も深刻な側面です。

体の症状

うつ病は心の、そして脳が関係する病気ですが、脳がコントロールしている心と同時に体にも症状が現れるという特徴があります。体の症状として代表的なのが、夜中や朝方に目が覚めたり、なかなか寝付けないといった睡眠障害で、うつ病患者さんの9割以上にみられます。このほか、食欲が落ちる、体がだるい、疲れやすい、口が渇く、便秘、下痢、めまい、ふらつき、動悸、頭痛といった、いわゆる自律神経失調症の症状も伴います。そのため体の病気を疑って、内科を受診する人が意外と多いのです。

症状の日内変動

うつ病の症状は一般に午前中に強く出て、夕方以降少し楽になる傾向があります。夕方から夜の少し元気そうな様子をみた周囲の人が、「なまけているのではないか」と誤解してしまうことがあります。


うつ病の原因・きっかけ

うつ病のきっかけの一つは環境の変化です。うつ病になる人は、人に頼まれるとイヤといえずに多くの仕事を抱えこんでしまうことが多いようです。また、他人に頼み事をするのが下手という傾向が、周囲からのサポート不足という状況を引き起こす場合もあるようです。そうした状況でも徹底的に頑張ろうとしてしまうため、無理がかかって次第に心のエネルギーが不足し、ものの見方にゆがみが生じがちです。

職場では昇進や転勤、配置換えなどで、それまでとは違う役割を振り当てられてストレスが高まったことが、発症のきっかけになるケースも多いようです。

女性とうつ病

女性の場合は引っ越しで環境が変わったり、出産や閉経で女性ホルモンが減少することもきっかけになります。人が一生のうちにかかるうつ病の割合(生涯有病率)は男性に比べて女性の方が約2倍高いことがわかっています。この理由の一つとして女性ホルモンの変化が影響すると考えられています。

女性のうつ病で、特に社会的な影響が大きいのは出産前後に発症する周産期うつ病です。うつ病の発見が遅れると、母親の状態が子供の発達にまで影響を及ぼす恐れがあるからです。出産後、気分が不安定になったり、落ちこんだりする、いわゆるマタニティーブルーを経験する人は少なくありませんが、通常は1週間程度で良くなります。この状態がもし長引くようならうつ病に進展している可能性があります。

うつ病にかかると、たとえ望んで産んだ子供でも、かわいいと思えず、子育てに自信がなくなります。そうした気持ちを抱く自分を「母親失格」と決めつけて落ちこみ、自分の責任を果たそうと頑張るものの、思うようにこなすことができないために苦しみます。本人同様、周囲の人もつい、慣れない子育てのせいで精神的に不安定になっていると思いがちですが、うつ病が隠れている可能性も考慮する必要があるのです。


早期発見・早期治療の重要性

発症から時間がたつにつれ、職場の同僚や家族との関係が悪化し、それがさらに本人を追いつめるという悪循環が起こってしまいます。環境が悪化し、離職や離婚といった事態に突き進んでしまうと、その後に治療を始めても悪化した環境がストレス源になったり、周囲からのサポートも得にくくなってしまいます。したがって、うつ病による悪影響をできるだけ抑え、治療効果を上げるためには早期発見、早期治療を心がけることが大切なのです。

疑わしい症状が2週間以上続く場合は、とりあえず近くのかかりつけ医を受診してみるのも一つの方法です。その際には、うつ病かどうかを見極めてもらうと同時に、うつ症状の裏に体の病気が隠れていないかどうかも検査してもらいましょう。


治療について

休養の重要性

うつ病患者さんは、「休むことは悪いことだ」「休んでいる自分はダメな人間だ」と考えてしまいがちです。しかし、例えば糖尿病の患者さんが、「甘い物が好きだから」といって甘い物を食べ続けながら糖尿病の薬を服用しても効果は期待できません。同じように、うつ病も過度のストレスがかかった状態のままでは、治療の十分な効果は期待できません。これまで一人で抱えてきた負担をいったん軽くして、十分な心の休息をとることが大切です。

急性期の治療

うつ病の急性期とは、気分の落ちこみ、不安、イライラ、不眠、食欲の低下などのうつ病のつらい症状を改善していくための期間です。急性期は最もうつ病の症状が重く、患者さんは症状のつらさを訴えるだけでなく、考え方や発言もこれまでの患者さんとは思えないくらい否定的になっています。そのため、周囲の方にとっても理解しにくいところがあるかもしれません。

まず、ご家族がうつ病について正しく理解し、可能であれば通院にも付き添うことで、医師と患者さんとご家族が一つのチームとなって治療を進められるようにサポートしてください。

他の心の病気との関係

うつ病はほかの心の病気と同時に起こる(併発する)ケースも少なくありません。例えば、主に不安を症状とする心の病気と併発することがあります。うつ症状の裏に別の疾患が隠れていないか、専門医による診断が重要です。


チェックリスト:うつ病のサイン

以下の症状が2週間以上続いていたら、うつ病の可能性があります。特に9に当てはまる場合は深刻ですので、早めに医療機関を受診して医師に診断してもらいましょう。

1 物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない
2 気分が落ちこむ、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる
3 寝付きが悪い、途中で目が覚める、または逆に眠りすぎる
4 疲れた感じがする、または気力がない
5 あまり食欲がない、または食べすぎる
6 自分はダメな人間だ、人生の敗北者だと気に病む、または自分自身あるいは家族に申し訳がないと感じる
7 新聞を読む、またはテレビを見ることなどに集中することが難しい
8 他人が気づくぐらいに動きや話し方が遅くなる、あるいはこれと反対にそわそわしたり、落ちつかず、普段よりも動き回ることがある
9 死んだ方がましだ、あるいは自分をなんらかの方法で傷つけようと思ったことがある

うつ病と健康なときの「うつ」の違い

項目うつ病健康なときにも見られるうつ
日常生活日常生活や仕事がひどくつらい何とか普通に過ごせている
考え方・とらえ方すべてを否定的に考え、柔軟性がない・とらえ方にこだわる物事の良くない点と良い点の両方がとらえられる
うつの持続2週間以上、毎日続き、後を引く1日または数日以内
周囲からの援助周囲の意見や提案を受け入れず、一人で抱えこむ周囲の意見や提案を受け入れる
良いことがあったとき良いことに思えない気分が改善する
人との接触会うと気疲れするので避ける人に会って相談できる
趣味や気晴らし楽しくない、やりたくない楽しめるのでやりたい
食事好物もおいしいと思えないおいしいと思え、おいしいものが食べたいと思う

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