第6章 セラピーを受けるという行為自体が、クライエントの「変化への計画(Change agenda)」の延長線上にある理由 ACT

第6章の記述に基づくと、セラピーを受けるという行為がクライエントの「変化への計画(Change agenda)」の延長線上にある理由は、「セラピーに来ること自体が、これまでに行ってきた『苦痛を取り除くための努力』の最新バージョンであるから」だと言えます。

具体的には、以下の3つのポイントで説明されます。

1. 共通する目的:「気分を良くしたい(Feel better)」

クライエントはセラピーに来る前に、すでにさまざまな方法で問題を解決しようと試みています(友人に相談する、自己啓発本を読む、祈る、あるいは飲酒や回避行動に走るなど)。
これらの方法は一見バラバラに見えますが、根底にある目的はすべて同じです。それは、「不快な感情や思考などの心理的苦痛をコントロールし、排除することで、気分を良くしたい」というものです。これがクライエントが無意識に従っている「変化への計画(Change agenda)」です。

2. 「正解の公式」を探し求めるプロセス

クライエントにとって、セラピーへの来院は「新しい解決策の探索」です。彼らは次のように考えています。

  • 「これまでいろいろ試したが、うまくいかなかった(=正しい公式が見つからなかった)」
  • 「セラピストという専門家なら、私の計画(苦痛の排除)を成功させるための『欠けていたステップ』や『魔法の弾丸(決定的な解決策)』を教えてくれるはずだ」

つまり、「アプローチ(計画)そのものを変えたい」のではなく、「今のアプローチを成功させるためのより良い手段が欲しい」と考えてやってくるため、セラピーへの来院は既存の計画の延長線上の行動になります。

3. 「コントロール」という文化的なルールの適用

私たちは文化的に、「嫌なものは取り除くべきだ」というルール(例:汚れがあれば掃除する)を学習しています。クライエントはこの「外の世界のルール」を、自分の「内面の世界(思考や感情)」にも適用しようとします。
「気分が悪い $\rightarrow$ だから、この悪い気分を取り除かなければならない $\rightarrow$ そのためにセラピーを受ける」という思考の流れは、まさにこの「コントロールして排除する」という文化的な計画に沿った行動です。


結論

したがって、クライエントがセラピーのドアを叩くとき、彼らは「今のやり方(コントロール戦略)ではダメだった」と認めてやってきますが、同時に「次はうまくコントロールして排除できる方法が見つかるはずだ」という同じ計画を抱えたままやってきます。

セラピストにとって重要なのは、この「セラピーに来た」という行為自体が、実は「機能しないコントロール戦略の繰り返し」の一部であることに気づき、それをクライエントと共に検討すること(機能性の評価)から始める点にあります。

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