アルツハイマー病の治療または予防に再利用可能な既承認薬3種類

研究者らは、アルツハイマー病の治療または予防に再利用可能な既承認薬3種類を特定した。科学者らは一から開発する代わりに、現在、他の疾患に使用されている医薬品を調査し、脳保護効果を持つものがないか検討した。

 アルツハイマー病協会が資金提供し、エクセター大学が主導した本研究は『Alzheimer’s Research and Therapy』誌に掲載された。検討対象となった薬剤の中で、帯状疱疹ワクチン(ゾスタバックス)が最も有望な候補として浮上。バイアグラ(シルデナフィル)と運動ニューロン疾患治療薬(リルゾール)も高い可能性を示した。

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3つの優先薬剤は以下の通り:

帯状疱疹ワクチン(ゾスタバックス)―― 帯状疱疹ウイルスと認知症の関連性が示唆されている。免疫系の変化がアルツハイマー病に関与することは知られており、このワクチンは免疫系と相互作用することで、そうした有害な変化の一部を抑制する可能性がある。

シルデナフィル(バイアグラ)―― 神経細胞を保護し、アルツハイマー病で異常蓄積するタンパク質「タウ」の蓄積を減少させる可能性があることが研究で示されている。マウス実験では、シルデナフィルは脳への血流増加により、思考力と記憶力を改善した。

リルゾール ―― 現在、運動ニューロン疾患に処方されるリルゾールは、動物実験で認知機能の向上とタウタンパク質レベルの低下を示した。

この3つの中で特に注目されたのは帯状疱疹ワクチンである。接種回数は最大2回で、安全性の実績が長い。過去の研究では、ワクチン接種者は認知症発症リスクが約16%低いことが示唆されている。

 研究者らは帯状疱疹ワクチンの大規模な英国臨床試験を開始し、参加者を追跡する計画だ。

検討対象となったその他の薬剤  追加で5種類の薬剤が候補に挙がったが、「優先候補」に選定される基準を満たさなかった。これにはフィンゴリモド(多発性硬化症治療薬)、ボルチオキセチン(大うつ病性障害治療薬)、マイクロリチウム(うつ病治療薬)、ダサチニブ(白血病治療薬)、シチシンが含まれる。

ハンセン病患者施設でのアルツハイマー病罹患率の低さからリファンピシンが有望視され動物実験もされ有効とされたはずだが、薬価が安い(1カプセル29円)せいか臨床実験は行われず適応病名の拡大もなく使えない状態にある。

一方、「こういうの本当にくだらない,全てほぼ無効でしょう.実際に患者の診察をやっていない人達の発想だと思います.もっと根本的な研究をしてほしい.」という意見もある。

ここで、マイクロリチウムと書かれているのは、

結論から申し上げますと、「マイクロリチウム」は一般的な精神科で処方される「炭酸リチウム(商品名:リーマスなど)」そのものではなく、「リチウムを超低用量(マイクロドーズ)で投与する手法、またはその製剤」を指します。

以下に詳しく解説します。

1. 「炭酸リチウム」との違い

  • 炭酸リチウム(通常用量): 躁うつ病(双極性障害)の治療に使われます。通常、1日数百mg(600mg〜1200mgなど)を服用し、血中濃度を一定以上に保つ必要があります。副作用や中毒のリスクがあるため、定期的な血液検査が必須です。
  • マイクロリチウム(マイクロドーズ): 通常の治療用量の100分の1から1000分の1程度(例:0.3mg = 300μg程度)という、極めて微量のリチウムを指します。

2. なぜアルツハイマー病の候補になったのか?

リチウムには、アルツハイマー病の原因物質の一つとされる「タウタンパク質」の異常な蓄積を抑える酵素(GSK-3β)を阻害する働きがあることが知られています。

「通常用量のリチウムでは副作用が強すぎて高齢者には使いにくいが、ごく微量(マイクロドーズ)のリチウムなら、副作用を避けつつ脳を守る効果(神経保護作用)だけを得られるのではないか」という仮説のもと、ここ10年ほど研究が行われてきました。

実際、ブラジルの研究(Nunesら、2013年)などで、微量のリチウムを15ヶ月間投与したグループで認知機能の低下が抑制されたという報告があり、一時注目を集めました。

3. なぜ「優先候補」から外れたのか?

ご提示のニュースにあるように、アルツハイマー病の「優先候補」から外れた理由は、主に以下の点が考えられます。

  1. エビデンスの不足: 小規模な試験では効果が見られたものの、大規模な臨床試験で「明らかにアルツハイマー病を治す・止める」と言い切れるほどの強いデータがまだ不足している。
  2. 他の薬剤との相対評価: 同時に検討された他の薬剤(例えばGLP-1受容体作動薬や他の新薬候補)と比較した際に、優先して巨額の投資(治験費用)を投じるまでの優先順位に至らなかった。
  3. バイオアベイラビリティ(生物学的利用能): 微量すぎて、実際に脳内の病変部位に十分な量が届いているかどうかの証明が難しい。

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