
MAD理論(神経細胞の反応特性に基づいた仮説)によれば、うつ病の発症プロセスは、その人が元々持っている**「神経細胞のプロフィール(M・A・Dの構成比)」**によって異なります。
うつ病の共通のメカニズムは、先行する神経細胞の過活動(躁的な状態)によってM細胞やA細胞が機能停止し、本来休止することが役割であるD細胞の特性が前景に残されること(消去・残余の現象)であると説明されます。
性格タイプごとの具体的な発症プロセスの違いは以下の通りです。

1. 執着気質(M多・A多・D多)の発症プロセス
仕事熱心で責任感が強く、徹底的にやり遂げるタイプです。
- 第1段階(躁的活動期): 仕事やプライベートで過度に頑張りすぎたり、大きな喜びで興奮が続いたりすることで、M細胞(躁的細胞)が過活動になります。
- 第2段階(M細胞の休止): M細胞が耐えきれなくなり機能停止します。この時点では「M少・A多・D多」という状態になり、一時的にメランコリー親和型のような特徴(几帳面さと抑うつ傾向)が現れます。
- 第3段階(A細胞による踏ん張り): M成分(熱中性・精力)が枯渇しても、残されたA成分(几帳面さ・責任感)で状況を何とかしようとさらに頑張り続けます。
- 第4段階(完全なうつ状態): ついにA細胞も機能停止し、「M少・A少・D多」となります。これが臨床的に観察される共通のうつ状態です。
2. メランコリー親和型性格(M少・A多・D多)の発症プロセス
真面目で几帳面、ルールを遵守し、頼まれると断れないタイプです。
- 第1段階(A細胞の酷使): 元来M成分(熱中性)が少ないため、几帳面さや責任感というA成分を主動力として、自分への高い要求水準に応えようと頑張ります。
- 第2段階(A細胞の休止): 責任感からくる持続的な努力によってA成分が使い果たされ、機能停止します。
- 第3段階(うつ状態): 直ちに「M少・A少・D多」のうつ状態に至ります。執着気質に比べると、M細胞が機能停止するプロセスを経ない分、一段階でうつ状態に達します。
3. その他の性格タイプ
- 循環気質(M多・A少・D多): エネルギッシュで社交的なタイプです。M成分が突出して多いため、MがダウンするとすぐにD主体のうつ状態になります。これは双極I型に近い経過をたどります。
- 弱力性格(M少・A少・D多): 元々熱中性も几帳面さも強くないタイプですが、内面に自己愛成分を保持していることが多く、現代的なディスチミア親和型うつ病に近い経過をたどることがあります。
「頑張りの質」と回復の違い
- 頑張りの質: 執着気質は**「精力・熱中性の枯渇」が発症の中心であるのに対し、メランコリー親和型は「几帳面・責任感の持続の枯渇」**が中心となります。
- 回復の到達点: 治療によって回復を目指す際、メランコリー親和型は「M少・A多・D多」まで戻れば病前と同じになりますが、執着気質はM成分もA成分も高い「M多・A多・D多」の状態まで戻らなければ完全な回復とは言えません。
このように、MAD理論では**「どの細胞が先に焼き切れるか」**というプロセスの違いによって、性格タイプごとの発症パターンを説明しています。
