人関係療法(IPT)で用いられる5つの技法

対人関係療法(IPT)で用いられる5つの技法を以下に説明します。


1. 気分と対人的出来事の結びつけ(Linking mood to the interpersonal event)

患者の感情状態と、それを引き起こした対人的出来事を明確に関連づける技法です。たとえばセラピストは「悲しいです」と言う患者に「何かあったのですか?」と問い返したり、「彼氏とひどい喧嘩をしました」と言う患者に「それはどんな気持ちでしたか?」と尋ねます。これにより患者は、どの対人的交流が抑うつを悪化させ、どれが回復に役立つかを理解していきます。

2. コミュニケーション分析(Communication analysis)

対人的なやりとりをコマ送りのように丁寧に振り返り、どこでコミュニケーションがうまくいかなくなったかを探る技法です。「上司との口論の始まりから、あなたは何を言い、彼はどう反応したか、その時どう感じたか、そして本当は何と言いたかったか」という形で詳細に分析します。

3. 選択肢の生成・決断分析(Generating options / Decision analysis)

抑うつの無力感・絶望感に対抗するため、患者が自ら選択肢を考え出すよう促す技法です。セラピストは「これについてどうするつもりですか?」と問いかけ、患者が複数の対処方法を挙げ、その中から選択できるよう支援します。

4. ロールプレイ(Role-playing)

特定の選択肢を選んだ後、実際の行動の「リハーサル」として、セラピストと患者が関係者の役を演じる技法です。セラピストは患者のコミュニケーションの印象についてフィードバックを与え、「適切なタイミングを選ぶこと」「過去ではなく現在の問題に集中すること」「人格ではなく行動を批判すること」といった対人スキルを指導します。

5. 宿題の割り当て(Assigning homework)

セッション内で話し合い、ロールプレイで練習した対人的な関わりを、次のセッションまでに実際の生活の中で試みるよう促す技法です。CBTの宿題よりも指示的ではなく、患者が特定の対人的な相互作用を実行し、次回のセッションでその経緯を振り返る形をとります。


これらの技法はいずれも、IPTの核心である「対人関係の文脈」に焦点を当てており、患者が現在の人間関係の問題をより効果的に処理できるよう支援することを目的としています。

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