対人関係療法(IPT)の治療期間と各段階

対人関係療法(IPT)の治療期間と各段階

一般的な治療期間

急性期うつ病に対するIPTの標準的な治療期間は、成人では16回、青少年では12回のセッションで構成され、いずれも週1回の頻度で実施されます。治療の長さは初期フェーズで決定され、この明確な「終わり」の設定が患者の動機づけと積極的な取り組みを促す効果を持ちます。


3つの治療段階

第1段階:初期フェーズ(最初の3〜4セッション)

このフェーズでは以下の課題に取り組みます。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)やベックうつ病調査票などの評価尺度を用いてうつ病を診断し、症候群に名前を与えます。患者にうつ病が治療可能な疾患であるという希望を与え、「病者の役割」を付与することで、疾患に対する自責感を軽減します。また、対人インベントリーを実施して患者の重要な現在の対人関係を詳しく探り、現在のうつ病エピソードと関連する1〜2つの対人関係上の問題領域を特定します。そして患者とともに対人関係定式化を作成し、治療契約を結びます。

第2段階:中期フェーズ

治療の大部分の対人関係作業が行われる核心的なフェーズです。特定された問題領域に応じた目標と戦略に沿って作業を進めます。具体的には、患者が自分の対人環境にどのように影響を与え、またどのように影響を受けているかを明確化し、対人関係上の困難をより上手く対処するための抑うつ対抗的な関係スキルを構築します。気分と対人関係上の出来事を結びつけること、コミュニケーション分析、選択肢の生成、ロールプレイ、宿題の割り当てなどの技法が用いられます。セッションの冒頭では毎回うつ症状を1〜10のスケールで評価し、治療の進行状況を把握します。

第3段階:終結フェーズ(最後の2セッション)

このフェーズでは以下の5つの課題が中心となります。患者のうつ症状を評価して完全または部分的な改善を確認すること、治療終了に対する患者の悲しみや不安を取り扱うこと(これをうつ病と区別しながら)、治療での成果を継続するための患者の能力と自立性を高めること、有効だったスキルを振り返ること、そしてIPTが十分な効果をもたらさなかった場合には罪悪感を軽減することです。また、治療終了後の選択肢として、月1回のセッションで構成される維持IPT(IPT-M)についても説明がなされます。


終結後の選択肢

治療終了後の選択肢として維持IPT(IPT-M)があり、急性期治療終了後1年間にわたって月1回のセッションを行います。急性期治療中に学び実践した対人関係スキルを強化しながら、将来のうつ病エピソードを引き起こしうる新たな対人関係上のストレス要因にも対処します。フランクらの3年間の試験では、IPT-Mがハイリスクグループにおける再発予防において平均18か月間の有効性を示しています。

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