IPTにおける4つの対人関係上の問題領域
IPTでは、抑うつを引き起こす引き金となりうる対人関係上の問題として、以下の4つが定義されています。
1. 悲嘆(Grief) 重要な他者やペットの実際の死による喪失を指します。治療では、故人との関係を振り返り、バランスのとれた視点で再構築しながら、社会的孤立を解消して新たな人間関係や関心に目を向けられるよう支援します。
2. 対人紛争(Interpersonal Disputes) 家族、友人、同僚、隣人などとの明示的または潜在的な意見の相違を指します。紛争の段階(再交渉・膠着・解消)を特定し、双方の期待のズレや不適応なコミュニケーションパターンを修正しながら、問題の積極的な解決を目指します。
3. 役割移行(Role Transitions) 人生の各段階間の移行や生活環境の変化への対応困難を指します。離婚、転居、昇進、出産、家族の病気、大学への進学など、ポジティブ・ネガティブを問わないさまざまな生活の変化が含まれます。治療では、古い役割の喪失を悼みつつ、新たな役割に対処するためのスキルや社会的サポートの構築を支援します。
4. 対人的欠如(Interpersonal Deficits) 社会的孤立、または関係を始めたり維持したりすることに困難をもたらす重大なコミュニケーション上の問題を指します。過去および現在の人間関係を振り返ってパターンを特定し、新たな関係の形成や既存の関係を深めるための社会的スキルを練習します。
これらの4つの問題領域は、文化を超えて普遍的に見られる人間の状況の本質的な要素であることが、IPTの異文化適応研究によっても示されています。
