IPTとベックの認知療法(CT)の類似点と相違点

IPTとベックの認知療法(CT)の類似点と相違点

類似点

IPTとCTはともに時間制限のある短期療法であり、「今ここ(here and now)」の問題に焦点を当てます。また、どちらも構造化されており、患者が利用できる選択肢の少なさに対処するという共通の目標を持っています。さらに、宿題の活用や技法の一部を共有しており、患者が現在の社会的役割においてコントロール感を得られるよう支援するという共通の目標も持っています。


相違点

焦点の違い IPTが対人関係の文脈と不適応なコミュニケーションパターンの修正に焦点を当てるのに対し、CTは歪んだ思考パターンを体系的に明らかにし、宿題を通じて代替的な思考パターンを練習させることに重点を置きます。

否定的認知・行動への対処の違い IPTでは、罪悪感、非主張性、否定的バイアスといった否定的な認知や行動は、それらが患者の対人関係や社会的役割に与える影響という観点からのみ扱われます。一方CTでは、これらを直接的かつ体系的に同定・修正することが中心的な作業となります。

治療者の役割の違い IPTの治療者はCTと同様に積極的・指示的ですが、患者自身が選択肢やアイデアを生み出すことを促す点を重視します。CTでは機能不全思考記録や気分モニタリングフォームなどの書式を用いますが、IPTではこうした書式による作業は行いません。

精神力動療法との関係の違い IPTは精神力動的療法よりも「今ここ」の対人問題に焦点を当てる点でそれらと異なりますが、治療者は投影・否認・抑圧などの防衛機制を認識することがあります。ただしIPTでは、それらを内的葛藤の焦点としては扱いません。CTはそもそもこのような精神分析的概念とは異なる理論的基盤を持っています。

無意識への対処 IPTは主に意識的・前意識的なレベルで作業しますが、夢や無意識の欲求の解釈は行いません。CTも無意識の探求は行いませんが、自動思考や認知スキーマという独自の概念的枠組みを持っています。


まとめ

両療法はいくつかの技法や目標を共有しつつも、変化をもたらすメカニズムが根本的に異なります。IPTは対人関係の文脈と感情の言語を重視するのに対し、CTは思考パターンの同定と修正を中心に据えています。

タイトルとURLをコピーしました