葛藤スイッチ(The Struggle Switch)

動画(『葛藤スイッチ(The Struggle Switch)』/ラス・ハリス博士)の音声の日本語訳です。動画の流れに沿って文字に書き起こしました。


私たちは、頭の奥に「葛藤スイッチ(もがきスイッチ)」を持っているかのように思えることがよくあります。
そして、不快な感情や苦痛を伴う感覚、あるいは嫌な記憶が現れた瞬間に、その葛藤スイッチが「ON」になり、私たちはそれと闘い(もがき)始めます。

では、不安が現れたと仮定しましょう。
これは誰もが経験する、非常にありふれた苦痛な感情です。
不安が現れると、葛藤スイッチがONになります。

「ああ、不安がやってきた。不安なんて嫌いだ。不安を消し去りたい」

すると今度は、自分の「不安」に対して「不安」を抱くようになります。そのため、不安はさらに大きくなっていきます。

葛藤スイッチがONになっていると、こうなります。
「うわあ、不安が大きくなってきた! どうすれば不安を消せるんだ?」
こうして、さらに多くの不安を抱えることになります。

葛藤スイッチがONだと、次に不安に対して怒りを感じるかもしれません。
「なぜこの不安は何度も現れるんだ? 不安なんて大嫌いだ!」

それから、怒りを感じている自分に悲しくなるかもしれません。
「はあ、これが自分の人生なのか……」

さらには、その悲しみや怒りに対して罪悪感を抱くようになるかもしれません。
「世界には飢えに苦しむ子供たちがいるというのに、自分はなんて情けないことで悩んでいるんだろう」

このように葛藤スイッチがONになっていると、感情が増幅されてしまいます。不安に対する怒り、その怒りに対する悲しみ、その悲しみに対する罪悪感という連鎖が生まれるのです。

これが、自分をさらに追い詰める行動へと引きずり込んでしまいます。

では、もしこの葛藤スイッチを「OFF」にできたら、どうなるでしょうか?

葛藤スイッチがOFFのときも、不安は現れます。
だからといって、その不安を好きになったり、望んだり、受け入れたりするわけではありません。ただ単に「不安と闘う(もがく)のをやめる」のです。

この不安と闘うために、自分の大切な時間やエネルギー、努力を費やすのをやめます。
その代わりに、人生を豊かにする有意義な活動に時間やエネルギーを注ぎます。
例えば、友人や家族と充実した時間を過ごしたり、子供たちと一緒に遊んだりすることです。

葛藤スイッチがOFFになっていれば、不安は自由に動き回ることができます。
不安が強くなることもあれば、弱くなることもあります。
急速に変化することもあれば、ゆっくりと留まることもあるでしょう。しかし重要なのは、それが「自由に流れていく」ということです。

「不安のない人生」などあるでしょうか?
不安は、私たち誰にでも現れるものです。
しかし、不安が現れたときに葛藤スイッチがOFFになっていれば、ONのときと比べて、はるかに楽にその不安と共存していくことができるのです。

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