無条件の自己受容(USA)

論理情動行動療法(REBT)の観点では、**「無条件の自己受容(USA)」「自尊心(自己評価:Self-esteem)」**は明確に区別されており、後者はむしろ人間の悩みを生み出す大きな原因の一つと考えられています。

両者の主な違いは以下の通りです。

1. 条件付きか、無条件か

  • 自尊心(条件付きの自己評価): 何かがうまくいったり、他者から認められたりした時に自分を「価値がある」と称賛し、失敗したり批判されたりすると自分を「価値がない」と非難するという構造を持っています。つまり、自分の価値が外部の条件や成果に依存しています。
  • 無条件の自己受容(USA): 大きな成果の有無や、自分の欠点・失敗にかかわらず、「ただ生きている、存在している」というだけで自分を無条件に受け入れる姿勢です。

2. 「行為」の評価か、「存在」の評価か

  • 自尊心: 特定の行動や特性の良し悪しを、**「自分という人間全体の価値」**と結びつけて判定してしまいます。REBTでは、複雑で流動的な人間の全体性を「良い」「悪い」と決めつけることは不正確であり、有害であると説いています。
  • 無条件の自己受容(USA): 自分の**「特定の行為(パフォーマンス)」については評価しますが、「自分自身の全体的な価値」については評価をしません**。例えば、失敗した時に「私のこの行動は良くなかった(ので修正しよう)」と考えることは成長に有益ですが、「失敗したから私はダメな人間だ」と飛躍することを避けます。

3. 精神的な安定への影響

  • 自尊心: 自己評価を基準にすると、うまくいっている時は良いですが、一度つまずくと激しい自己卑下や不安、うつ状態に陥るという情緒的な不安定さを招きます。他者の目を気にしすぎることも、この「条件付き」の信念から生じます。
  • 無条件の自己受容(USA): 自分を「過ちを犯す人間」としてありのまま認めることで、逆境にあっても感情的な安定を保ちやすくなります。失敗を「人間の不完全さ」の一部として受け入れ、自分を責めるエネルギーを改善のための行動へと向けることができます。

REBTの創始者アルバート・エリスは、自尊心を「自己評価という神話」と呼び、**「自己そのものを評価することをやめ、行動の評価のみを続けること」**を推奨しています。

タイトルとURLをコピーしました