ABC理論

論理情動行動療法(REBT)の核となる**「ABC理論」**は、私たちが悩みや苦しみを感じる仕組みを説明する非常にシンプルなモデルです。初心者の方向けに、各要素とそれらがどう関わっているかを解説します。

1. ABC理論の各要素

「ABC」とは、感情や行動が生まれるまでのプロセスを3つの頭文字で表したものです。

  • A(Activating Event / Adversity):出来事・逆境 自分に起きた客観的な事実や出来事のことです(例:仕事で失敗した、恋人に振られた)。
  • B(Belief System):信念・考え方 起きた出来事(A)を、自分がどう解釈するかという「受け止め方」のことです。
  • C(Consequence):結果(感情や行動) 出来事の結果として生じた感情(不安、落ち込みなど)や行動(引きこもる、やけ食いするなど)のことです。

2. 「B(考え方)」が「C(感情)」を生み出す

多くの人は、「ひどい出来事(A)が起きたから、自分はショックを受けている(C)」と考えがちですが、REBTではそうではないと教えます。 感情的な結果(C)を生み出している本当の正体は、その出来事に対するあなたの「解釈や信念(B)」です

例えば、同じ「試験に落ちた(A)」という出来事でも、

  • 「次はもっと頑張ろう(合理的信念:B)」と考えれば、「残念だ」という**健全な感情(C)**になります。
  • 「自分は無価値だ、絶対に合格しなければならなかったのに(非合理的信念:B)」と考えれば、「絶望」という**不健全な感情(C)**に陥ります。

3. 注意すべき「非合理的な思い込み(イラショナル・ビリーフ)」

悩みの原因となるB(考え方)には、共通する特徴があります。これを「非合理的信念(イラショナル・ビリーフ)」と呼び、主に以下の3つの「〜ねばならない(must)」に集約されます。

  1. 自己への要求:「自分は常に完璧にやり遂げ、承認されなければならない」
  2. 他者への要求:「他者は常に私を思いやり、公平に扱うべきだ」
  3. 世界への要求:「世の中や環境は、常に自分にとって快適でなければならない」

こうした「絶対的な要求」が満たされないときに、人は「最悪だ」「耐えられない」「自分(または相手)はクズだ」といった極端な結論を出してしまい、強い苦しみを生み出します。

4. 解決へのステップ:DとE

REBTでは、ABCで終わらず、さらに2つのステップを踏んで心を軽くします。

  • D(Dispute / Debate):論駁(ろんばく) 自分の「〜ねばならない」という考えに対し、「それは本当か?」「その考えは役に立つか?」と科学者のように問い直し、論理的に疑うことです。
  • E(Effective New Philosophy):効果的な新しい哲学 論駁によって、「〜であればいいな(でも、絶対そうでなくても大丈夫)」という柔軟で合理的な新しい考え方に置き換えることです。これにより、感情や行動がより建設的なものへと変わります。

まとめ

ABC理論は、**「私たちを悩ませるのは出来事そのものではなく、その出来事に対する自分の見方である」**というストア派哲学者エピクテトスの教えに基づいています。自分の感情をコントロールするために、まずは自分の「B(考え方)」に気づき、それが「絶対的な要求(〜ねばならない)」になっていないかを確認することが第一歩となります。

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